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換価分割とは?不動産相続を公平に分ける方法を解説

執筆者の写真: 朋之 藤沢
朋之 藤沢
6月16日
読了時間: 10分

更新日:9月28日

相続財産に不動産が含まれている場合、「誰が取得するのか」「どのように公平に分けるのか」で相続人同士の意見が対立することがあります。不動産は現金のように簡単に分割できないため、適切な遺産分割方法を選ぶことが重要です。その中でも多く利用されているのが「換価分割」です。換価分割とは、相続した不動産を売却し、その売却代金を相続人で分ける方法を指します。本記事では、換価分割の仕組みやメリット・デメリット、手続きの流れや注意点についてわかりやすく解説します。


換価分割とは?

目次









1.換価分割とは?


1-1.換価分割の基本的な仕組み


換価分割とは、相続した不動産を売却して現金化し、その売却代金を相続人で分配する遺産分割方法です。不動産は現金のように均等に分けることが難しいため、売却によって現金化することで公平な分割を実現しやすくなります。例えば、評価額3,000万円の不動産を売却し、売却後の手取り金額が2,800万円になった場合、相続人2人であればそれぞれ1,400万円ずつ受け取ることができます。不動産を誰か一人が取得する代償分割と異なり、換価分割では相続人全員が現金で相続できるため、比較的トラブルが少ない方法として利用されています。


1-2.換価分割が選ばれるケース


換価分割は、相続人の誰も不動産の取得を希望しない場合や、遺産の大半が不動産で占められている場合によく選ばれます。また、相続人が遠方に住んでいて管理が難しいケースや、老朽化した空き家を維持する負担を避けたい場合にも有効です。さらに、相続人が複数いる場合、不動産を共有名義にすると将来的な売却や管理で意見が対立することがあります。換価分割であれば、不動産を現金化して分配するため、権利関係がシンプルになり、将来的なトラブルを未然に防ぐことができます。



2.換価分割のメリット


2-1.公平な遺産分割がしやすい


換価分割の最大のメリットは、相続人全員が公平に財産を受け取れることです。不動産は形ある資産であり、単純に分けることができません。しかし、売却して現金に変えることで、法定相続分や話し合いで決めた割合に応じて分配できます。そのため、「誰かだけが高額な不動産を取得する」といった不公平感が生じにくくなります。また、相続人全員が現金を受け取るため、資産の活用方法を各自で自由に決められる点も魅力です。公平性を重視する相続では非常に有効な分割方法といえるでしょう。


2-2.共有名義によるトラブルを防げる


不動産を共有名義で相続すると、売却や建替え、賃貸活用などの重要な判断を行う際に共有者全員の同意が必要になります。そのため、相続人同士の関係が悪化すると不動産の活用が難しくなることがあります。換価分割では不動産そのものを売却するため、共有状態を作らずに済みます。将来的な権利関係が複雑化する心配もなく、次世代への相続時にも問題を引き継ぎにくい点が大きなメリットです。長期的な視点で見ても、管理負担やトラブルリスクを軽減できる方法として評価されています。



3.換価分割のデメリット


3-1.不動産を手放す必要がある


換価分割では、不動産を売却することが前提となるため、思い出のある実家や先祖代々の土地を手放さなければなりません。特に被相続人との思い出が詰まった住宅の場合、感情的な理由から売却に抵抗を感じる相続人も少なくありません。また、将来的に資産価値が上昇する可能性のある不動産であっても、一度売却してしまうとその利益を享受できなくなります。そのため、換価分割を選択する際は、公平性だけでなく将来の資産価値や相続人の意向も考慮したうえで判断することが重要です。


3-2.売却費用や税金が発生する


不動産を売却する際には、不動産会社への仲介手数料や登記費用、測量費用などさまざまな費用が発生します。また、売却によって利益が生じた場合には譲渡所得税や住民税が課税される可能性もあります。つまり、不動産の売却価格がそのまま相続人の手取り額になるわけではありません。売却前に必要経費や税金を把握しておかないと、想定していた分配額より少なくなるケースもあります。換価分割を検討する際には、事前に税理士や不動産会社へ相談し、手取り額を試算しておくことが大切です。


4.換価分割を行う際の注意点


4-1.売却価格によって分配額が変わる


換価分割では、不動産がいくらで売れるかによって最終的な分配額が決まります。そのため、相続税評価額や固定資産税評価額と実際の売却価格が異なるケースも珍しくありません。市場環境によっては想定より安く売却される可能性もあります。少しでも高く売却するためには、複数の不動産会社から査定を取得し、適正価格を把握することが重要です。また、売却時期によって価格が変動することもあるため、焦って売却を進めるのではなく、戦略的に進めることが求められます。


4-2.相続人全員の合意が必要になる


換価分割を行うためには、基本的に相続人全員の同意が必要です。一人でも売却に反対する相続人がいる場合、遺産分割協議がまとまらず手続きが進まない可能性があります。また、売却価格や不動産会社の選定を巡って意見が対立することもあります。そのため、事前に相続人全員で十分な話し合いを行い、売却方針や分配方法について合意形成を図ることが大切です。必要に応じて弁護士や司法書士など第三者の専門家を交えることで、円滑な協議につながります。


5.換価分割を成功させるポイント


5-1.信頼できる不動産会社を選ぶ


換価分割の結果は、不動産の売却価格によって大きく左右されます。そのため、売却を依頼する不動産会社選びは非常に重要です。査定額の高さだけで判断するのではなく、地域の売却実績や販売力、担当者の対応なども確認しましょう。複数社に査定を依頼することで価格の妥当性を比較でき、より有利な条件で売却できる可能性が高まります。また、相続不動産の売却経験が豊富な会社を選ぶことで、手続きをスムーズに進められるメリットもあります。


5-2.専門家に相談しながら進める


換価分割では、不動産売却だけでなく相続手続きや税金の問題も関係します。遺産分割協議書の作成や相続登記、譲渡所得税の計算など専門的な知識が必要になる場面も少なくありません。そのため、司法書士や税理士、弁護士などの専門家に相談しながら進めることが重要です。専門家のサポートを受けることで法的・税務的なリスクを回避できるほか、相続人間のトラブル防止にもつながります。換価分割を成功させるためには、早い段階から専門家と連携し、計画的に手続きを進めることが大切です。



◎換価分割とは?


~自宅を売却し、売却代金を相続人で分けた事例~


相続財産の中に不動産がある場合、


「誰がこの不動産を相続するのか」


という問題だけでなく、


「この不動産を売却して、そのお金を相続人で分けたい」


というケースもあります。


このような場合に利用される相続方法の一つが、換価分割です。


今回は、当事務所でお手伝いした、換価分割による相続手続の事例をご紹介します。


若いご主人がお亡くなりになったケース


今回のご相談は、若いご夫婦のケースでした。


ご主人がお亡くなりになり、相続人となったのは、


  • 奥様

  • ご主人のお父様

  • ご主人のお母様


の3名でした。


相続財産には、ご夫婦が暮らしていた自宅がありました。


しかし、今後その自宅を誰かが取得して住み続けるというのではなく、自宅を売却し、その売却代金を相続人で分けることになりました。


自宅を共有名義にして売却する方法もありますが……


相続人が3人ですので、単純に考えれば、自宅を相続人3人の共有名義にして、その後に3人で売却するという方法もあります。


しかし、共有名義にすると、実際の売却手続において相続人全員が関わる必要が生じるなど、手続が複雑になることがあります。


そこで今回のケースでは、遺産分割協議において、


「自宅は奥様が取得し、その後売却する」


という内容としました。


ただし、奥様が最終的に自宅を自分の財産として取得するという意味ではありません。


今回の遺産分割協議は、自宅を売却して現金化し、その売却代金を相続人で分けることを前提としたものです。


奥様の単独名義にして、売却手続きを進める


遺産分割協議の内容に基づき、自宅の不動産については、いったん奥様の単独名義に変更しました。


そのうえで、奥様が不動産の売却手続きを行い、自宅を売却しました。


そして、売却によって得られた代金を、遺産分割協議で定めたとおり、相続人で分けました。


今回のケースでは、不動産そのものを3人で共有するのではなく、いったん奥様の名義として売却し、最終的には売却代金を相続人で分けるという方法をとったわけです。


換価分割のイメージ


今回のケースを簡単にすると、次のような流れです。


① ご主人が亡くなる

↓

② 奥様・ご主人の父母が相続人となる

↓

③ 自宅を売却することを決める

↓

④ 遺産分割協議で、自宅を奥様が取得する形にする

↓

⑤ 自宅を奥様の単独名義に変更

↓

⑥ 奥様が自宅を売却

↓

⑦ 売却代金を相続人で分ける


このように、不動産をそのまま分けるのではなく、売却して現金に換えてから分けるのが換価分割です。


換価分割では「誰の名義にするか」も重要


換価分割では、


「どうせ売るのだから、誰の名義でも同じでは?」


と思われるかもしれません。


しかし、実際には、売却するまでの間、誰が不動産を取得する形にするのかについて、遺産分割協議の内容をきちんと整理しておくことが重要です。


今回のケースでは、相続人全員で話し合ったうえで、売却手続きを進めやすくするため、奥様の単独名義としました。


その後、奥様が売却手続きを行い、売却代金を相続人で分けることで、最終的に相続人それぞれが相続分に応じた財産を受け取る形となりました。


換価分割を利用するときの注意点


換価分割を行う場合には、単に「不動産を売ってお金を分ける」と考えるだけではなく、


  • 誰が不動産を取得する形にするのか

  • 売却後の代金をどのように分けるのか

  • 売却にかかる費用を誰が負担するのか

  • 売却までの固定資産税等をどうするのか

  • 売却によって税金が発生する可能性があるか


などについて、あらかじめ確認しておくことが大切です。


特に、不動産の名義を一人にしたうえで売却代金を相続人に分配する場合には、遺産分割協議書の記載内容が重要になります。


相続した不動産を「売って分けたい」ときは


今回のように、


「自宅を誰かが取得する必要はない」


「不動産を共有したくない」


「売却して、その代金を相続人で分けたい」


という場合には、換価分割という方法が考えられます。


ただし、相続人の人数や不動産の状況、売却時期、売却代金の分け方などによって、適切な遺産分割の方法は変わります。


相続した不動産を売却して相続人で分けたい場合には、売却を始める前に、どのような遺産分割にするのかを確認しておくことが大切です。


当事務所では、遺産分割協議書の作成から相続登記、不動産売却に向けた名義整理まで、相続の状況に応じてご案内しています。

 
 
 

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