法定相続情報一覧図の写しとは?取得方法と使い方を解説

更新日:9月21日
相続手続きを進める際、「法定相続情報一覧図の写し」という言葉を目にすることがあります。しかし、「戸籍と何が違うの?」「どこで取得するの?」「本当に必要なの?」と疑問に思う方も多いでしょう。法定相続情報一覧図の写しは、相続人を証明する公的な書類であり、不動産の名義変更や預貯金の相続手続きなどで活用できます。本記事では、法定相続情報一覧図の写しの概要から取得方法、必要書類、具体的な使い方まで、初めて相続手続きを行う方にもわかりやすく解説します。

目次
1. 法定相続情報一覧図の写しとは
1-1 法定相続情報一覧図の概要
法定相続情報一覧図の写しとは、亡くなった方(被相続人)と法定相続人との関係を一覧で示した公的な証明書です。法務局が戸籍一式を確認したうえで認証し、写しを交付します。従来は金融機関や法務局ごとに戸籍謄本一式を提出する必要がありましたが、この書類を利用すれば戸籍の束を何度も提出する必要がなくなります。相続人を証明する書類として幅広い手続きで利用でき、相続人の負担軽減につながる制度として活用されています。
1-2 制度が創設された目的
相続では、不動産、銀行口座、証券会社など複数の機関で同じ戸籍書類を提出するケースが珍しくありませんでした。そのため、相続人の負担が大きく、戸籍の返却待ちによって手続きが遅れることもありました。こうした課題を解決するために創設されたのが法定相続情報証明制度です。法務局が一度確認した内容を一覧図として証明することで、複数の相続手続きを効率的に進められるようになりました。現在では相続手続きの負担軽減に役立つ制度として広く利用されています。
2. 法定相続情報一覧図の写しの取得方法
2-1 取得までの流れ
取得の流れは比較的シンプルです。まず、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本や相続人全員の戸籍、住民票など必要書類を集めます。次に、法定相続情報一覧図を作成し、必要書類とともに法務局へ提出します。内容に問題がなければ、法務局が認証した「法定相続情報一覧図の写し」が交付されます。交付された写しは複数枚取得できるため、銀行や法務局などへ同時に提出でき、相続手続きを効率よく進められます。
2-2 必要書類と申請先
申請時には、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍、相続人全員の現在戸籍、被相続人の住民票除票などが必要になります。また、申出書や法定相続情報一覧図も作成しなければなりません。申請先は被相続人の本籍地や最後の住所地、不動産所在地などを管轄する法務局です。書類に不備があると交付まで時間がかかるため、事前に必要書類を確認して準備することが重要です。
3. 法定相続情報一覧図の写しが必要になる場面
3-1 不動産の相続登記
相続した土地や建物の名義変更を行う相続登記では、相続人を証明するための戸籍書類が必要です。法定相続情報一覧図の写しを利用すれば、大量の戸籍を毎回提出する必要がなくなります。2024年から相続登記が義務化されたこともあり、不動産を相続した場合には早めの手続きが重要です。相続登記をスムーズに進めるためにも、法定相続情報一覧図の写しを取得しておくメリットは非常に大きいといえるでしょう。
3-2 預貯金・証券・各種名義変更
銀行口座の解約や預金の払い戻し、証券口座の名義変更、生命保険金の請求など、多くの相続手続きでも利用できます。金融機関ごとに戸籍一式を提出する代わりに、法定相続情報一覧図の写しを提出できるケースが多く、書類管理の負担も軽減されます。ただし、金融機関によって必要書類が異なる場合もあるため、事前に利用可能か確認しておくと安心です。
4. 法定相続情報一覧図の写しを取得するメリット
4-1 戸籍提出の手間を大幅に削減
最大のメリットは、戸籍謄本一式を何度も提出しなくて済むことです。相続手続きでは複数の金融機関や行政機関へ同じ書類を提出することが多く、その都度戸籍を準備するのは大きな負担になります。法定相続情報一覧図の写しがあれば、多くの場面で代用できるため、書類管理が容易になり、相続人の時間と手間を大きく削減できます。
4-2 相続手続きをスムーズに進められる
法定相続情報一覧図の写しは複数枚取得できるため、銀行・法務局・証券会社などへ同時並行で提出できます。その結果、各種手続きを効率よく進めることが可能になります。また、公的機関が認証した書類であるため、相続関係を証明する資料として信頼性も高く、相続全体の手続きを円滑に進める大きな助けとなります。
5. よくある質問と注意点
5-1 有効期限や再発行について
法定相続情報一覧図の写しには法律上の有効期限はありません。ただし、提出先によっては発行から一定期間以内のものを求められる場合があります。また、一度申請した一覧図は必要に応じて追加交付を受けられるため、複数の相続手続きがある場合でも安心です。利用予
定が多い場合は、あらかじめ必要枚数を取得しておくと効率的です。
5-2 取得時の注意点と専門家への相談
相続人が多い場合や代襲相続、数次相続が発生している場合は、必要書類や一覧図の作成が複雑になることがあります。また、戸籍に漏れがあると再提出になる可能性もあります。相続手続きを円滑に進めるためには、司法書士や行政書士などの専門家へ相談するのも有効な方法です。事前に十分な準備を行うことで、相続手続きをスムーズに完了させることができます。
令和8年10月5日から不動産登記に「国籍等」の情報が追加されます
― 法定相続情報一覧図を利用する相続登記ではどうなる? ―
令和8年(2026年)10月5日から、不動産登記の際に提出する「検索用情報」に、これまでの氏名・住所・生年月日・メールアドレスに加えて、**「国籍等」**の情報が追加されます。
これは、将来、所有権の登記名義人に相続が発生した場合に、適用される法律(準拠法)を確認するための基礎情報として利用されるものです。
法定相続情報一覧図を利用する相続登記ではどうなる?
ここで気になるのが、法定相続情報一覧図の写しを利用して相続登記を申請する場合です。
法定相続情報証明制度は、被相続人や相続人が日本国籍を有しないなど、戸籍・除籍謄本等を提出することができない場合には利用することができません。
つまり、法定相続情報一覧図の保管・交付を受けることができる相続関係は、基本的に日本の戸籍等によって相続関係を確認できるケースに限られます。法務局も、「被相続人や相続人が日本国籍を有しないなど、戸除籍謄本を提出することができない場合は、本制度を利用することができない」と案内しています。
そのため、法定相続情報一覧図の写しを利用できる相続については、外国籍の相続人がいることによって、法定相続情報一覧図を利用できなくなるという問題は生じません。
一方で、10月5日以降の不動産登記では、登記名義人となる方について「国籍等」の情報を申告する必要があり、これを証する情報の提供が必要とされています。
日本国籍の方については、例えば、本籍地が記載された住民票の写しや戸籍の附票の写しなどが「国籍等を証する情報」の例として法務省から示されています。もっとも、登記申請の際に従来から提出する住所を証する情報によって、国籍等を証する情報を兼ねることができる場合もあります。
したがって、法定相続情報一覧図の写しを利用する相続登記については、
「外国籍の相続人がいるため、法定相続情報一覧図では国籍等を確認できない」という問題は基本的に生じません。
ただし、検索用情報として国籍等を申告し、その情報を証する書類をどのように提出するかについては、個々の登記申請の内容や添付書類によって確認が必要です。
法定相続情報一覧図は、相続手続きを進めるうえで便利な制度です
法定相続情報一覧図の写しは、相続関係を一覧で証明することができ、不動産の相続登記だけでなく、預貯金の払戻しや株式等の名義変更、相続税の申告など、さまざまな相続手続きに利用できます。
また、令和6年4月1日からは、不動産登記の申請において「法定相続情報番号」を提供することで、法定相続情報一覧図の写し自体の添付を省略することもできるようになっています。
相続登記では、制度改正によって必要となる情報や手続きが変わることがあります。
「法定相続情報一覧図を利用して相続登記をしたい」
「10月5日以降の相続登記で、どの書類が必要になるのか分からない」
「国籍等の情報について何を用意すればよいのか分からない」
このような場合は、登記申請の内容に応じて必要書類を確認することが大切です。
司法書士藤沢朋之事務所では、相続関係や不動産の状況を確認したうえで、相続登記に必要な手続きについて分かりやすくご説明しています。
◎法定相続情報一覧図の写し、何通請求する?
~20通から10通に変えた実務上の経験~
相続手続で便利な「法定相続情報一覧図」。
法務局で作成してもらった法定相続情報一覧図の写しは、相続登記だけでなく、銀行・証券会社などの相続手続にも利用することができます。
そのため、手続先が多い場合には、何通かまとめて交付してもらうことになります。
以前は20通で申請していました
私はこれまで、法定相続情報一覧図の写しの交付を法務局に申請する際、必要になることを見越して「20通」として申請することがありました。
法定相続情報一覧図の写しは無料で交付されますので、
「どうせ使う可能性があるなら、多めにもらっておこう」
という考えからです。
ところが、ある法務局に申請した際に、
「20通は多すぎるので認められません」
と言われたことがありました。
そこで、それ以降は「10通」で申請するようにしています。
法務局の案内では「必要な通数」を請求
法務局の案内を見ると、法定相続情報一覧図の写しについては、
「相続手続に必要な通数を交付します」
とされており、申出書にも「必要な写しの通数・交付方法」を記載することになっています。
また、法務局の資料では、一覧図の写しは**「相続手続に必要な限度の通数」**を求めるよう案内されています。
つまり、「無料だから、とりあえず大量にもらっておく」というよりも、
預貯金の解約・名義変更
証券会社の手続
相続登記
相続税の申告
その他の相続手続
など、実際に使用する予定の手続先をある程度確認したうえで、必要な通数を請求するのが基本と考えた方がよさそうです。
ただし、何通必要かは相続によって違います
例えば、
「銀行が3行、証券会社が2社、不動産の相続登記が1件」
というケースと、
「銀行・証券会社など、手続先が10か所以上ある」
というケースでは、当然必要となる通数も変わります。
そのため、「法定相続情報一覧図は必ず○通」という決まりがあるわけではありません。
私自身は、以前20通で申請していたところ、ある法務局で多すぎるとの指摘を受けた経験から、現在は10通程度を一つの目安として申請しています。
もちろん、実際に必要となる通数は、その相続で予定されている手続の数によって判断することになります。
もし足りなくなったら?
「最初に少なめに請求して、後で足りなくなったらどうしよう?」
という心配もあると思います。
法定相続情報一覧図は、一定期間、法務局で保管されており、要件を満たせば再交付を受けることができます。法務局の案内では、一覧図は5年間保存され、その間は再交付を受けることができるとされています。
そのため、必要以上に大量の写しを最初から請求する必要はなく、予定している相続手続に応じて必要な通数を考えるのがよいでしょう。
まとめ
法定相続情報一覧図の写しは、相続手続をスムーズに進めるために非常に便利な制度です。
一方で、交付される写しは「必要な通数」を請求することが基本です。
私の場合は、以前は20通で申請していましたが、ある法務局で「多すぎる」と言われたことをきっかけに、それ以降は10通で申請するようになりました。
「何通請求すればいいのか分からない」という場合には、予定している相続手続の数を整理してから通数を決めるとよいでしょう。
相続登記だけでなく、預貯金や証券など複数の相続手続がある場合には、法定相続情報一覧図を上手に利用することで、戸籍の束を何度も提出する手間を減らすことができます。法務省も、必要な通数の一覧図の写しを利用して複数の相続手続を進められる制度として案内しています。


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